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「可愛かったんだよな、高校生の時の湘くん」
悟史くんは、不意に話し出した。
「やっぱりそうだったんだ。あのコンビニが出来た時から?」
「うん。よく来てたでしょ、友達と」
「うん、あの辺まだコンビニ無かったから、嬉しくってさ」
「そうだよね」
悟史くんは、昔を思い起こすように、優しく言った。
「いつも見てたんだ。可愛い高校生だなあって。俺、高校、中退しちゃったから、なんか憧れてたのかも」
「そうなんだ」
俺もゆっくりと昔を思い出す。
受験でイラついて親と喧嘩した時も、彼女とうまくいかない時も、いつもあのコンビニに行っていた。
そんな俺を悟史くんは、いつも見守ってくれていたんだ。
俺は、胸が暖かくなった。
「俺、ガキだったよな、イラついたりしてただろ?」
「んふふ、確かに」
悟史くんは、楽しそうに笑う。
「けど、そんな姿も、全部好きだったんだ」
「悟史くん…」
柔らかく視線が絡みあった。
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