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「あの、さ。悟史くん」
「ん」
俺は、ジリジリと悟史くんに近づいた。
「あの女の子は、彼女でもなんでもなくて、ただの友達で、あの日も彼氏と喧嘩したのを、愚痴って…」
「そう」
悟史くんは、何でもないように笑う。
「俺、自信が無かった。悟史くんに好かれてんのかどうか。だから、あんな風に酷いこといっぱい言ってしまって….」
「うん」
悟史くんは、ただ笑っているだけで、何も言ってくれない。
「俺、駄目かな…。悟史くんの相手には、なれない?」
怖かった。
悟史くんは、何でも受け入れてくれるけど、自分から求める人では無かったから。
「…おいらはさ」
悟史くんは、ゆっくりと話し出した。
「自分から、好きになったのは、湘くんだけ」
「え….マジ?」
「だから、ずっと湘くんの絵描いてた。会わなくなってからもずっと」
「悟史くん…」
身体が熱い。
もう色んなことを理屈で考えるのは、やめよう。
ただ好きという気持ちしか、もう無かった。
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