第4話

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「絵、見る?」 悟史くんがそう言いながら、ズルズルと段ボールをひっぱり、中からひとつずつ絵を取り出した。 「あ、ああ、うん」 緊張していた俺は、少し拍子抜けする。 「うわ…」 拍子抜けした気持ちが、また熱くなった。 あの頃の俺がいた。 ちょっと尖っていて、まだ頬の辺りには幼さもある。 ニキビの跡まで、丁寧に描かれていて驚いた。 「俺だ」 「でも、描いても描いても、本物の湘くんに会うと、全部違うって思って」 「そうなの?」 「うん。やっぱり湘くんは、絵に閉じ込められないなって思う」 「そっか」 悟史くんは、うん、と笑う。 俺は、なんだか悟史くんと同じ気持ちだ、と思っていた。 悟史くんが俺を絵の中に閉じ込めようとしたように、俺も、悟史くんを俺だけのものにしようとした。 お互いに、誰かだけのものになんてなれっこないのに。 「なんかもどかしいな」 「ん?」 「悟史くんとひとつになりたいよ…」 「……」 悟史くんは、黙ったまま俺にギュッと、抱きついてきた。 「おいらもだよ」 悟史くんの小さな顎を持ち上げて、キスをした…
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