最終章

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センセイはキスをやめて腕の痣に目を止めた。 「真梨夏さん火傷ですか」 「ええ。油が撥ねて」 実のところ、私はボンボンともヨリを戻していた。火傷はボンボンが蝋燭を垂らした跡だ。 ボンボンは血統書付きの同期に惚れ込んでつけ回して金をひけらかしてプロポーズし、結婚にこぎつけた。同期にしてみれば金持ちの独身と結婚出来るのはそれなりのステータスもあったし、私を見下すにも絶好の相手で、センセイとの噂を消す目的もあったろう。ボンボンにとってもあれだけの美人で均整の取れたプロポーションで社交的な女ならば夫人として申し分無い。
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