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<諒>
「ん…。あ、海紀…。」
俺、また負けたんだよな。
いいとこ見せようとかじゃないけど、情けないな…。
「諒、ごめんね?私のせいで、痛い思いしたよね。」
「なんで海紀のせいになるんだよ。」
「私が前にあんな事したから降参しなかったんでしょ?」
まぁ、あれは怖かったけど…
「そんなの気にしてねぇよ。俺のどうでもいいプライドだ。」
そんなもん無いけどな!
「嘘、私わかるもん。」
はぁ、海紀は鋭いな…。
「ま、確かにそれもあったな。」
「ごめん、ごめんね…グスッ…痛い思いさせちゃって…。」ポロポロ
自分の責任を重くしてしまうのが、海紀の悪いとこだな。
あ、やべ、海紀の涙が目に入った…。
いてぇ。
「よいしょ、いいか?海紀。」
「うん…グスッ…。」
「降参しなかったのは俺の意思だ。切られたのも俺のせい。あんな事されても今は気にしてないからな?何も海紀だけが責任を感じる事はない。わかったか?」
「うん…ごめん…グスッ…。」
「だから謝るなって。早く泣き止んでいつもの海紀に戻ってくれよ?」ナデナデ…
「諒…優しい。」
「海紀も優しいぞ?今だって俺の為に泣いてくれてんだ。」ナデナデ…
「そうだね。」
「少しは否定しよっか?」
「やだ、へへ…。」
ふぅ、やっといつもの海紀に戻ったな。
「次は天谷と宮瑠璃(みやるり)だな。」
凄い名前だな…。
「ほら海紀、試合だ。行ってこい。」
「うん。すぐ戻ってくるね!!」
海紀、急に元気になったな。
あの海紀が一番いいよ、うん。
「諒、いつの間に女子の慰めスキルとか身につけたわけ?」
「ふっ、彼女のいないーにはわからんだろうな。」
「うるせぇ。」
まぁ、実際は海紀のああいう感じのが何度かあったからなんだけどな。
海紀以外はさっぱりわからないぞ?
「宮瑠璃ってどんな子?」
海紀と向かい合ってる紺色ロングヘアーのロリっ子を指差して言う。
指差すのって失礼なんだけど…許せ。
「確か内気な子だったぞ?俺もあまり話した事はないからわかんねぇけどな。」
「ふーん。」
一がわからないのか…。
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