第1章

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駅前の雑踏 学校の教室 会社のオフィス 個性の無い、世界… 多くの車が行き交う大通り その上に掛かる歩道橋 その真ん中で 手摺に凭れ俺は道路を見下ろす 忙しなく走る車の中の一台が 何かに急かされるかのように、苛立ったようにクラクションを鳴らす また、別の一台が 車のボディーに大量のステッカーを張り付けて大音量で音楽を聴きながら悠々とその横を通り抜けていく その後ろを別の一台が 張り付けられた若葉マークに身体を小さく縮めるかのようにして安全運転でおたおたと走る 一見個性があるかのように見える多くの車 けれど、結局 車は車 それ以外の何にもなれない 人の社会もそれと同じ 少しでも他の何かに成ろうとすれば、輪から弾かれ、二度と其処には戻れない なんて、素敵で素晴らしくて なんて面白みのない世界なのか 俺は、退屈なその世界の真ん中で一人大きな欠伸をした
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