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ゴッッッ!
彼の動きを制止しようと腕を伸ばすよりも先に聞こえた鈍い音
目の前には、無残にも床に横たわる岡峰君の姿と、金剛力士の阿形像のように立つマドちゃんの姿があって、またあの言い合いが始まるのかと思ったら、耳を塞ぎたい気分になった
でもそんな私を余所に、ミケはスッと立ち上がり、しゃがんだままの私の腕を掴み立ち上がらせると2人してマドちゃんに向き合う形で立った
ミケを見ると、真剣なまなざしでマドちゃんを見ていて
マドちゃんもミケを見……睨んでる?
何でよ…
しばらく視線を外すことなく無言で見つめ合っていた2人だったけど、視線を外すことなく口を開いたマドちゃんは、私達の後ろに向かって声をかけた
「小鉄、来い」
その呼びかけに顔を動かすと、トレ-を手に持った小鉄君が戸惑いの表情を浮かべながらも走ってきて、すれ違いざま、ミケの顔を見るとその場で立ち尽くしてしまった
「え?え?な…モジャ髪が…って、イテテ」
ミケの頭を指さし、驚いていた小鉄君の耳を思いっきりひっぱり、自分の横に立たせたマドちゃんは、腕組みをした状態で一言「どうぞ」と言った
その一言に、ミケは小さく深呼吸をすると、私の手をそっと握り
迷いのない真っ直ぐな言葉を宣言するように口にした
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