日月 秋ということ

2/2
117人が本棚に入れています
本棚に追加
/463ページ
人には、誰にも言えない秘密がある。それは1つや2つかもしれないし、あるいは数えきれない程かもしれない。多分、皆最低でも1つは抱えている。もちろん、僕も例外ではなく、ちゃんと抱えている。バレたら本当に大変なことになるので、零れ落ちたりしないようにしっかり抱え込んでいる。 この秘密は百聞は一見に如かず的な秘密だ。要するに、口で説明したところで誰も信じてくれないもの。そんな秘密を抱え込んで、早6年。僕は明日から高校生になる。 高校生活は楽しいものだと僕の大先輩は言う。大先輩が言うのだから間違いないだろう。大先輩はこうも言った。高校生活は楽しいが、自分から行動しないと楽しくならない、と。その点は心配ない。僕は、自分で言うのもなんだけど、積極的に動ける人間だから。 小学校の時も中学校の時も友達はたくさんいたし、学校行事はほとんど楽しんだ。まぁ、抱え込んでいる秘密のせいで行動が制限されたことが多々あったけど、そんなこと気にならないくらい楽しんだ。 「……………」 明日から高校生だ。人生は短い。人によっては60年間でも短いのだから、3年間なんてあっという間だろう。悔いのないように楽しもう。後悔は先に立たないのだから。 あ、もちろん秘密がバレない程度に、ね。
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!