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「……あ、どーりで。」
ポツリと自分にしかわからない
独り言をつぶやく。
「琉可ー?置いてくぞー?」
大声で呼ばれて、気がついた。
考え事をしていた頭を
現実へと引き戻す。
いつの間にか 廊下のずっと先に
いた絢斗が 不思議そうな顔で
こちらを見つめている。
んー、と返事をし、歩みを進める。
ーーーーこの時は まだ、
あるひとりの女子生徒が
俺を見ていることなんて、
気がつくはずもなかった。
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