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「春菜の居場所なんてすぐ分かるんだよ、俺は…」 「な、何それ?」 「何年見てると思ってる? 春菜が好きなんだから当たり前なんだよ」 「…そんなの」 「春菜は他に好きな奴居るんだろうけど、俺はお前が好きだから…」 「馬鹿! いい加減気づきなさいよ?!」 「春菜も気づけよ? 俺はずっとお前しか見てないってな」 「む、ムカつく! もう理斗なんか知らない」 春菜がプイッと顔を背けると、理斗はフッと可笑しそうに笑うとこう告げる。 「春菜はすぐ拗ねるよな?」 「…だって、理斗が鈍感だから」 「俺はずっと好きだけど?」 「…な、何よそれ!」 「春菜こそ、素直じゃないな」 「…生まれつきよ」 「まあ、春菜は可愛いから別にいいけどな」 「…本当にそう思ってる?」 「思ってるけど、悪い?」 「…わ、悪くはないわ」 「じゃあ、春菜の返事は?」 「…何か狡いよ、それ」 「そう? 俺は春菜も同じ気持ちだったら嬉しいけどな」 「…やっぱ狡い。 理斗は何か大人だし」 「…そうでもないぞ? 俺だって子供みたいに妬くぞ」 「ほ、本当?!」 「…春菜に好きな奴が居るって相談されたの嫌だったし、嫉妬してたんだ」 「…そっか」 春菜は理斗に近づくといきなりギュッと抱きついてきてはこう告げる。 「…理斗が好き」 「ふぅん? 知ってるよ、そんなの」 「…やっぱムカつく」 「あのさ? お前ら、俺居るの忘れてないか?」 「流、まだ居たのか?」 「邪魔なら出ていくけど、二人して入り口塞ぐんだから行けなかっただろ?」 「済まない。 夢中になっていた」 「…はいはい。 おめでとさん」 流星はフッと微笑むと、二人を置いて図書室を漸く出ていくと咲香が告白を受けていた。 「…ごめんなさい。 お付き合い出来ません」 「どうしてもですか?」 「…ごめんなさい」 「わかりました。 無理強いはしません」 「…。」 咲香が告白を断る姿を見た流星は何となく声を掛けづらい。
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