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「…とりあえず、メアドは教えてくれるんだよな?」 「離れてくれたらいいよ?」 「それ、ずりぃ…」 「だって、困るんだよ私?!」 「仕方ないなぁ… 今回だけ離れてあげる」 「…今回だけって何かやだ」 「好きな子に触りたいって思うのは仕方ないでしょ? 駄目ですか?」 「…またそんな顔で迫る!」 「だって、咲香が弱いみたいだから」 「もう、分かったから離れよう? 誰かに見られたら大変なんだから」 「…仕方ないなぁー」 流星はパッと離れると、携帯を取り出して赤外線送信でメアドを交換した。 「授業行かないとね?」 「予礼鳴ったよ、美波先輩」 「…うん。 じゃあ、碧依くんも急いで」 「じゃあね、咲香」 「えっ?」 流星はフッと微笑むと、咲香の頬にキスして走り去っていった。 「えっ?!」 「咲香ぁー 急ぐよ! 次、英語なんだからね」 「う、うん?」 春菜に手を引かれて、三年の教室へ向かう咲香はまだ上の空であった。 「流、ご機嫌だな」 「ん、そりゃね?」 「咲香先輩だろ、結局は」 「理も良かったじゃん? 春ちゃんを彼女に出来ただろ」 「…そうだな、良かったのかもな」 理斗はあまり表情は変わらないが、内心ではとても喜んでいる。 「流は?」 「メアド教えてもらった。 まあ、これから条件生活だけどな」 「条件生活とは何だ?」 「明日から昼は咲香と食べるんだけど、弁当作らないと食べてくれないんだ」 「ふぅん? 流、料理得意じゃないか」 「まあ、そうなんだけど…」 「どうかしたのか?」 「咲香の好物聞きそびれた」 流星が地味に落ち込んでいる中、理斗はフッと可笑しそうに笑う。 「流? 何の為の携帯だ」 「…ん?! そうか、メールで聞いたらいいじゃんな」 「お前、必死だな」 理斗が微笑ましい顔で笑うと、流星は真顔でこう告げたのだ。
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