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「咲香ぁー 次、体育だよ?」 「…。」 「咲香、聞いてる?!」 「…ごめん。 何か言った?」 「体育だから着替えに行こうよ?」 「英語終わってたんだ?」 「何か上の空だよね? 流星くんが原因かしらぁー」 「…う、うぅ」 咲香が恥ずかしそうに悶えていると、春菜はフッと微笑みこう告げた。 「さっきキスされてたわよね? それが原因でしょ?」 「…いきなりでビックリしちゃって」 「でも、咲香が告られて振らないなんて初めてよね? どうしたのアンタ?」 「実は… 流星くんに憧れてたんだ、私」 「ふぅん? そうだったの」 「…だからまさか告白されるなんて想定外で」 「ふぅん? 咲香、それって好きなんじゃん」 「…えっ?! ち、違うよ」 「じゃあ、何で流星くんを近づかせるの? いつものアンタなら一定の距離ぐらいは取れるでしょ?」 「流星くんは何か逃がしてくれない…」 「ふぅん? 咲香が逃げられないなんて珍しい事あんのね」 「…流星くんってどんな人?」 「流星くんは初恋もまだでしょ? 告白されても振ってたぐらいだし」 「何で私なんだろう?」 「咲香が毎日見るからじゃないの? 図書室でお昼食べる回数増えたし、そうなんでしょ?」 「…でも、私は猫を見てたんだよ?」 「…咲香って、男に興味ないの?」 「わかんないよ。 私も初恋まだなんだから」 「…初ね、ホント」 「だから、まだ好きとかじゃないと思うの」 「そう。 でも、何か変わったら教えなさいね? 私も相談乗るし」 「うん、ありがとう」 咲香はニコッと微笑むと、春菜も安心したのかフッと微笑み笑顔になる。 「体育、バスケだし発散しよう?」 「そうだね?」 「咲香は笑顔が一番可愛いわよ」 「ふふっ ありがとう、春菜」 咲香は春菜と共に着替えると体育館へと向かい、授業を楽しむ事にした。 はずだったのだが…。 「…咲香?!」 「うぅ…」 「ちょっと大丈夫?!」 「うぅ…」 春菜が心配して駆け寄るも咲香は頭にまともにバスケットボールをぶつけられ、倒れて痛みに苦しんでいた。 「ちょっと誰か保健室に…」 「何やってんだか、咲香は」 そう告げて咲香を抱き抱える輩を春菜は見上げるが、顔を見て安心する。
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