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「春菜さん、咲香は俺に任せて」 「水澤くん! 咲香をお願いね? 私は先生に言ってくるわ」 「任せたよ」 蒼真はフッと微笑むと、咲香を抱えて保健室へとゆっくり運んでいった。 「軽い脳震盪だね? 少しすれば大丈夫だよ」 「すいません。 俺がちゃんと見てれば」 「水澤くんが悪い訳ではないだろう? 彼女は任せて授業に戻りなさい」 「けど…」 「学生は勉強しないといけないよ?」 「…わかりました。 咲香をお願いします」 「お願いされました」 そう告げてフッと微笑むのは、イケメン保険医で女子に大人気ので村上 歩。 「…咲香に変な真似しないでくださいね?」 「…水澤くんって、彼女居たよね? 何でこの子を気にするんだい」 「…幼馴染みだからですよ」 「…成程。 まあ、僕も彼女は居ますから手は出しませんがね」 「…そうなんですか?」 「そうだよ。 よく勘違いされるんだから、困るんだよなぁ…」 歩はフッと微笑むと、咲香の様子を覗き込むがスヤスヤと眠っているので安心する。 「大丈夫そうだね。 念のため少し寝かせて調子が良いようなら授業に行かせるからね」 「…はい。 それじゃ、お願いします」 蒼真は咲香の寝顔を見つめて頭を撫でると、保健室を出て体育館へと戻って行った。 「咲香から返信来ないなぁ…」 「授業中だったからだろ? 次、体育だし移動しようか」 「理はいいなぁ… もう彼女だし、安心だろ?」 「まだ付き合い始めた訳じゃないから何とも言えない」 「ん? 付き合おうって言わないのか?」 「…言ってない」 「はぁ?!」 「何か照れくさくて、言ってない」 「…理、お前不器用?!」 「春菜が好きって言ってくれたのが嬉しすぎて、本題忘れた…」 「馬鹿だなぁ、お前」 流星はフッと微笑むと、理斗と一緒に体操着を持って更衣室へと向かう。 「あ、春ちゃんだ!」 「流星くんに理斗!」 「体育だったの?」 「そうだよ。 咲香は保健室に居るけどね?」 「は? 何で保健室に?!」 「頭にバスケットボールをまともに受けちゃって、倒れたの…」 「俺、行ってくる!」 「あ、でも…」 春菜が何か言おうとするよりも、流星は先に保健室に走り出してしまっていた。
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