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「逃げないでくれません?」 「だ、だって…」 「別に何かしようとかしてないし、そんな警戒しないでよ? さっき猫って言ってたでしょ?」 「…うん?」 「俺が内緒で飼ってるんだ。 美波先輩も一緒に来る?」 「…い、いい。 別に気になってただけだから」 「ふぅーん? じゃあ、やっぱり俺見てたんじゃない?」 「…ち、違うよ! 私は黒猫を見てただけで」 「まあ、どっちでも良いけどね」 「…わ、私教室戻ります」 「待って? 俺も嘘ついてんだよ。」 「え?」 「本当は美波先輩が見てるのが俺だったらって思ってるし… 気になってたし、好きなんだ」 「…す、好きって私を?」 「だから、逃げないでくれません?」 「でも、私はその…」 「じゃあ、俺とまずは友達になりませんか?」 「…何でそうなるの? 好きって言われたら友達なんて無理だよ」 「美波先輩が警戒してるから、距離を取ろうと思ってさ…」 「…碧依くんって変わってるね?」 「よく言われる。 いつもはポーカーフェイス気取ってるけど、懐いたら可愛いらしい」 「ふぅーん? 今は笑ってるけど、何で?」 「…美波先輩が気に入ってるからかな。 ずっと見てたんだけど、美波先輩って行動可愛いから」 「そ、そうかな? 私結構ドジだからその…」 「それが可愛いんですよ? 俺の事考えてくれませんかね」 「…私でいいのかな?」 「俺が好きなんだから、美波先輩じゃないと無理だよ?」 「…碧依くんってモテるよね?」 「俺がモテるのは美波先輩を好きな事とは関係ないんじゃない?」 「…でも、モテるでしょ?」 咲香がジッと見つめてそう訊ねると、俺はフッと微笑むとこう告げる。 「確かに告白は良くされるし、モテるのは当たり。 けど、俺は好きな子しか興味がないからさ」 「…そうなんだ。 でも、私は恋愛したことないし」 「可愛いよね、それ」 「え?」 俺が髪留めを指差すと、咲香は照れくさそうな顔をしてこう告げる。 「コレ、姉に貰ったんだけど… もう1つ無くしちゃって」 「ねぇ… もしかしてコレ美波先輩のだったりします?」 俺はそう訊ねると、先程黒猫が拾ってきた髪留めを取り出して見せてみた。
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