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北の魔女は順調にそのアナザーを育てているようだ。そう満足した私の足は、いつの間にか東のウィッカの付近に私を運んでいた。
先程まで全く気にしていなかったが、ちらちらと小雪が舞っている。辺りの景色も、吐く息までもが白く、幾ら辺りが暗いとはいえ私のこの格好では酷く目立ってしまう。
しかし、こんな日にはアナザーたちもウィッカに篭って暖を取っているだろう……そう考えていたのに、ぎゅっぎゅっと雪を踏み締める足音が近づいて来る。
(物好きな……)
太い木の陰に身を潜めると、二人分の人影が近くを歩いていた。
観察者としての必須条件、とでも言うべきか、私は己の視力には自信がある。しかし、雪が嫌いであるはずの――正確には【雪の季節そのものが厭わしい】はずの――魔女の一人の姿を認めた時には、我が目を疑った。
そしてそれだけではない。
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