AnotherXALICE

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「ふんふん~……ふん? ……三ゴールド? シケてるなあ……」  鼻歌混じりに、彼は懐を漁り出した。どうやら追い剥ぎじみた真似をするつもりらしい。  ……にしても、あのデビルの言葉ではないが男ながらにその面なのか。アナザーたちの魔女への想いは、時に軽々と私の理解の範疇を超える……この情は果たして彼女の望んだことなのか、それとも彼女の理解すら超えたところの現象かは、私にも分からぬ……。 「――っておお! 蝋燭ゲット!」  やがて彼は男の腰の袋から真っ赤な蝋燭を見つけた。それを天に掲げたまま彼はダッシュで走り出す。 「取ったど~っ!!」  息を切らして駆け込んだのは彼にとっての大本営、北ウィッカだった。魔女のところに辿り着くなり彼はガバッと膝を着いて彼女に蝋燭を掲げ、捧げる。
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