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「……そうか」
魔女は呟き、ポケットから青い瓶を取り出した。
「……ではすまないが、今はお前のその言葉に甘えよう」
差し出された瓶を彼は受け取る。――ホムンクルスの生命(いのち)の水とも言われる液体、エリクシルだ。
「使え。せめてその傷が早く治るように。そして領地から出られぬわたしの代わりに、お前が飛び回れるように」
「は、はい」
アナザーは頷く。
「クピドゥス様のためなら、俺なんでもしますから。あの海の果てだって、贖罪の塔のてっぺんだって行きますよ」
気遣わしげな色を浮かべていた魔女の顔が、その言葉にふっと和らいだ。
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