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「それを早く言ってよ! 人が尋
ねてくるからって何……!?」
汐麹はふと気付く、彼がここま
でやってきたのではないかと。
「ちゃんと挨拶するんだぞ?」
昴流が嵐襲に念には念をいれて
教育的に教えてやっていた。
「知らない人には知らん顔、は
違ったんですかー、オッ?!」
要らないことを言ったから囮は
ベランダに追い出されました。
「……繭冰という者ですが」
汐麹の彼氏らしき声がした。
「囮が時間を稼いでくれるけど
早めに事を進めましょ、さあ」
人目にはつかない、今にも抜け
落ちそうな屋根裏にひっそりと
置かれている金庫の中から貴重
な裁縫セットを事前に昴流に頼
んで持ってきてもらっていた。
「視えるものは仕方ないもの」
「また五月蝿いことを言うよう
ですが呉呉も丁重に願います」
なんてったって待ち針は『金』
&毛糸は『銀』を毎使用する。
「混じらせる羊毛、以外はね」
痔になったらどうしてくれる。
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