∞ヒツジが一匹∞

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「あとひとつだけは聞かせて。 彼とはどう別れるのが理想よ? もしも一刻の猶予も許されない んだとしたら、プレゼントを」 試みるべき策を汐麹に問う爽。 「別れるのに贈り物って聞いた ことがないわ! 繭冰とは体の付 き合い限定でいたいと思って」 昴流が汐麹の肩に手を置く。 「確認しておきたい事がある。 あんたは本当に別れの相談とや らをしに来たのか? わざわざ。 それじゃあ、何故また逢うよう にケガレを承知で密会計画を」 興奮すると昴流の羊毛まで逆立 ち、額の黄色い眼がちらつく。 基本的には隠れているものが人 目を忍ばずに世に現れるその日 は、だいたい災難に遭う確率が 高いと決まったも同然だった。 「……素顔は見られたくない。 あとは爽の腕次第ですから!」 室内では依頼人が来た時は必ず レインコートを身に纏うことの 方が多いと自覚してるつもり。 いざという時に役に立たなくて 押し付けがましい人材だろう。
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