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『……やっと手にいれたよ。私だけの人魚よ。』
誰の物になりたくない……
『本当にお前はそこら辺の宝石より美しい……』
そんな言葉なんて要らない。
『お前は一生この檻から出られない。例え逃げられてもお前はどこも帰る場所がないからな。』
お願い…………誰か………誰か……助けて………
ー3年後ー
「父ちゃん…何処に行くの?」
「闇市だよ。」
「え?」
「私はな?闇市に売られた子供を救っているんだ。ほんの一握りだがな。」
「そうなの?」
「ああ。でもな、今日は違うんだ。」
「??」
「今日はな?どうしても手に入れたいんだ。」
「どうして?」
「………“人魚”知ってるな?」
「ふん。」
“人魚”……普通だと海の中にいるけど今は違う。陸で生活してる。勿論海の中でも生活できる。オイラ達はその人達の事をこう呼んでる。“亜人”と。
「でもな、亜人の中でもほんの一握りで髪の色と瞳の色が変わる亜人がいるんだよ。」
「そうなの?」
「だがなその亜人は美しすぎたんだ。」
「美しすぎた?」
「そうだ。宝石よりも輝いていたんだ。そして誰もが欲しがるようになったんだ。」
「父ちゃんも欲しいの?」
「私は蒼の側近になって欲しいんだ。」
「オイラの?」
「ああ。」
『大変お待たせしました!!!今回の目玉商品!!!緋き髪に碧き瞳の人魚です!!!』
「おお!やっと来たか!」
「楽しみだ。」
「……皆人魚狙い?」
「ああ。前の主が亡くなってな。だから我が先と欲しがっているんだ。」
「そう……」
『さぁ!!ご覧ください!!宝石よりも美しいと言われる人魚を!!!』
「…………………っ」
「!!!っ」
本当にきれい……
『それではまず一千万から始めます!』
「二千万!!」
「五千万!!」
「六千万!!」
「……父ちゃん…オイラ…彼女が良い!側近者!!」
「良し来た!!私に任せろ!!」
「九千万!!」
『只今九千万来ました!!他にはいませんか?』
「一億」
『おーーーっと!!一億が出ました!』
「葵家の人だ。」
「律儀な人でもここに来るんだな。」
『他にはいませんか?………いないみたいなので一億で終わらせてもらいます。』
カンカンカンカン!!
「さ、蒼。これを持って行きないさい。」
「うん!!」
蒼は父親から一億と書かれた小切手を持って壇上の近くにいる係員に渡した。
。
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