第一章

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なりたくてなれるもんじゃない? どういうことだろう。学級委員長なんてのは、普通は立候補なんかで決めると思うのだが。 「倍率が高いとかそういうことで難しいわけ?」 「いや、立候補は出来ないし生徒同士での推薦も無効。決めんのは担任!」 「へー、人気ねえ……悪く言えば担任の雑用なのにな」 「その俺らの担任の特徴といえば?」 「王道ホスト系だっけ?」 「そう! 覚えてくれたの!」 「いや、あれだけ何回も連呼されれば……」 恭平が何度も何度も担任のことをホスト呼ばわりするからオレにもそうにしか見えなくなってしまった。 まあ確かに髪は金に近い茶髪でホストクラブにいそうな髪型だし、ごっついピアスもしているし。スーツは普通の黒やグレーを着ているが、これが真っ白なスーツだったら本物に見える。そんな若いイケメン先生が俺達の担任である。ちなみにかなりのめんどくさがりで、だるいめんどいが口癖の脱力感あふれる先生だ。 そうか、担任も負けず劣らずのイケメンだった。恭平によると学級委員長なると担任から頼まれごとが増えたり、みんな大好き生徒会の役員様と直接会うことが多くなるから生徒の大半は委員長に憧れるそうだ。 「やっぱり生徒会と関われることがルーム長に憧れる理由なんだよ。ただ、教師や役員側もそれをわかってるから、自分達の親衛隊に所属してる生徒なんかを省いてくわけ。そんで更に人柄を見て絞っていくと、担任からの指名になるってこと」 「ふーん……」 「あ、自分は関係ないって思ってるでしょ」 「まあ」 だってエスカレーター式に進学したクラスメイトに比べて、オレはここに加わったばかりの人間だ。 右も左もわかってないようなオレにそんな役回り来ないに決まってる。 「そーゆー考えはフラグになるよ、マジで」 「変なこというな。それじゃあ恭平はどうなんだ? 指名されるかもしれないんだろ?」 「うーん、拒否権なんて有って無いようなもんだからねえ。断るのはほぼ不可能だと思う。だけど俺は傍観者でいたい!」 「なんの傍観者だよ」 「言葉の通り!」 時たまこいつの言ってることがよくわからない。聞いても曖昧にはぐらかされるので今日も深くつっこむのは諦めた。
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