第3話

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
《武響 劉翔と飛音》  凛々しき青年がニ十騎の先頭にたち、駆ける。  武響という。歳は二十八歳。  五年前に父親を亡くした。  それからは兄弟との家督争い、叛乱の討伐、何かと理由を付けての領土拡大と戦に明け暮れていた。一万の敵を千機で突っ切るような生死を賭けた戦いもあった。  それらが、この男の自信になっている。  武響は陽城周辺で行われている調練の視察を行っていた。  調連で動きの悪い隊の将や兵士の首を迷わず刎ねる。  そうする事で隊は見違える程、動きが良くなる事を知っていた。  今日は十五程刎ねただろうか。随分前と比べると首を刎ねる数は減っている。  これは兵が精強になってきた事を示す。  小高い丘で馬を止めた。  心地よい風が吹く。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!