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「それより、あの人だかりなんだったんだろう」
「ん? ああ、そういやなんか集まってるな。どうせ近所のガキどもが万引きでもしたんだろ。ほっとけほっとけ」
豪快というか適当というか、判断の難しい意見を吐き捨てて、零子はさっさとタクシーに乗り込んだ。
「ホラ早く乗れって淳平。置いていくぞ」
「わ、わかったって。今行くよ」
タクシーに乗る間際、少女の去った方向を見る。
そこには既に彼女の姿はなく、代わりに赤々と輝く夕日があるだけだった。
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