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誰もいない部屋に帰る。
誰もいない部屋は深々と寒い。
真っ暗な部屋に電気をつける。
「おかえり」
「え?」
オレは素っ頓狂な声を上げた。
クスクスっと笑う。アイツの笑い声、笑顔・・・。
「どうしたの?忘れた?」
みっともないくらい涙があふれた。
夢?幻?そこにはユナがいた。
オレはとにかくユナを抱き締めた。この手で実感したかったからだ。
ちゃんと手ごたえがある。
「ど・・・どうして?」
「淋しいってさっき言わなかった?」
ああっ・・・さっき云った。
クリスマスの夜空を見上げて願った。ユナに会いたいと願った。
「拓矢の宿命の中に僕がいたみたい。
それで・・・分岐点で僕を選んでくれたみたいだね」
オレはキツネに抓まれたような顔をしてユナの顔を見た。
「なんでか・・・生まれ変われた。拓矢が願ってくれたから」
「お前は天使として生まれ変わったのか?」
「ううん、人間として生まれ変わった」
オレはまた・・・さっきより強く抱き締めた。
「じゃあ、好きになってもいいのか?もう消えなくていいのか?」
「うん、ずっと一緒にいるよ。あ・・・でも・・・その・・・」
「なんだよ」
「女の子には・・・なれなかった」
オレは笑ってキスをした。
「そんなことどうでもいい。オレはお前の躰すきだから・・・」
「ん・・・もう!//」
ユナは顔を赤らめた。
もう二度と離さない。一生オレのモノだ。
この三か月を埋めるかのように、長く、深く口づけを交わしていた。
クリスマスの夜・・・オレはサンタから最高のプレゼントをもらった。
-Fin-
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