第5話

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「ばい菌が来たぞ!」 「みんなうつるぞー! 離れろ!」 「うわーくせぇー!」 朝の罵倒は日常化していた。無言で耳の機能はシャットアウトし、席に着く。 机には馬鹿という言葉から卑猥な絵、るいに近づくな、など油性ペンで書かれていた。消すのも面倒なのでこれも放置している。 ――痛い!  安易に机に手を入れてしまうと、教科書にカッターナイフの刃が挟まっている事もあった。 指先から流れる血を眺めていると、この世から消えたほうが良い人間なんだと、胸も同時にズキッと痛んだ。
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