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「内、」
「ごめんなさい、嘘。いいの……いいんです」
いくら同じ血が通ってるからって、凄く薄いものだろうし。
今まで関わりがなかった私を、半年でも同じ屋根の下で過ごさせてくれた。
カーテンがそよぐ下で、ポツポツと話した。
「一人暮らしの資金だって、援助してくれてるんです。洗い物だって、布団を干すのだって、向こうの家に居た時からしてたことだし。今は、朝晩のご飯のメニューに悩むくらい……」
親戚の家で一緒に暮らしながら、いつ発作を起こすか不安に不安を抱くよりかは、アパートに1人でいる方が断然いい。
「……花保ちゃん」
「うん?」
「どうしてあの人に、私のことを話したの?」
キィ、と椅子が回る音がして、私の視界の端に花保ちゃんが現れる。
ベッドの側に立って、タオルケットを肩まで掛けてくれる。
「内宮さんのことを話したのは、貴方のことを心配した彼が、わざわざ転校初日の昼休みにここに足を運んでくれたからよ」
心配……。
なんで今日この学校に来たばかりの転校生が、私の心配をするんだろう。
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