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笑顔を残して花保ちゃんが出ていくと、途端に静かになる保健室で、グラウンドから聞こえる男子のバカ笑いがうるさく感じる。
風で踊っている真っ白なカーテンの隙間に手を差し伸べて、開いている窓全部を閉めてしまう。
「フ……」
一息吐いて椅子に座り直すと、カラ、と保健室の戸が鳴った。
パンから視線を上げる私は、小さな声を出して驚く。
「……」
出ていったばかりの花保ちゃんが戸を少しだけ開けて、そこからギロリと目を覗かせている。
「……忘れ物ですか?」
私が聞くと、また少しだけ戸を開けて顔を出す花保ちゃんは二ヘラと笑った。
「一緒に行くかなぁと思って」
間を空けて『大丈夫です』と答えると、頬を膨らませる花保ちゃんは今度こそランチに向かった。
花保ちゃん、いくつだけ。
1人になった保健室でぼんやり考えながら、チーズが気持ち程度入ったピザパンを噛じる。
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