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週に一度の全校朝礼。
体育館に集められた生徒の列に、私も並ぶ。
うちの学校は校則が緩くて、少し動くとじんわり汗をかく季節だというのに、女子のほとんどが長い髪を解いていた。
私も胸まである髪を括らずにいるけれど、朝早くに起きて髪を整えるのが面倒だからっていう、不精な理由だ。
クラスの女子の列の真ん中に丁度立っている私は、綺麗に縦に揃った頭を少し横にズラしてみる。
後ろから見ると、みんなが同じ制服を着て、同じ髪型髪色で、クローンみたい。
私もその中に入っているんだと思うと、自分はなんてつまらない奴だとため息が出る。
「次は、校長先生のお話です」
梅雨が終わって、夏は目前。
全校生徒が集まっても床面積に余白がある体育館でさえ、この時期熱気が素晴らしかった。
「えー、先日、梅雨明けが発表されましたね。これから暑くなる一方ですが――」
シンと静まり返った館内に、校長先生の声だけが響く。
――パタパタ
前にいる女子が首周りの髪を持ち上げて、風の通り道を作る。
首に張り付いた髪を見せられると、こっちまで襟元の蒸れを意識してしまう。
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