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「下着。キャミなんとかって、そんな名前のやつ」
「どこ」
「あっこ。透けてるだろ?」
「あ、マジだ」
「ちょっと、やめなってー」
後ろの方にいる女子も注意はするけど、声は笑ってる。
ここの夏服、ピラッピラだもんね。
「女子、教えてやれよ」
「言ってどうこう出来るもんじゃないじゃん」
そりゃそうだ。
心で呟いて、誰にも聞こえないため息を吐く。
蒸し暑さのせいもあるかもしれないけれど、体育館の中に全校生徒が集まっていると思うと窮屈に感じる。
視覚的にじゃなく、精神的に。
壇上に向けていた視線を前の人の背中に落として、静かに深呼吸をしようと鼻で息を吸った時。
――トントン
「……」
軽く肩を叩かれて途中で息を止める私は、流し目で振り向くと、真後ろの女子が口元に手を添えて小さく手招きをしていた。
躊躇いながらも、私は少し後ろに下がって耳を寄せる。
――ボソ
「キャミ、透けてるよ」
「え……」
喉の奥で、小さな声が出た。
あ……私?
その瞬間、全身の血の気が引くのが分かった。
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