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「うん……」
声に出して頷くと、後ろの方で笑い声がした。
言ってもどうこう出来ないって、さっきそっちも言ってたよね。
――フフ
耳元で、息を吹きかけて笑われているような気がする。
「……」
黙っててくれたほうがいいのに。
言わないで、笑ってくれたほうが……気持ち的には楽なのに。
ギリギリと思いきりスカートを握る。
収まった笑い声が、まだ耳に残っている。
やっとそれが消えて、そろそろと目線を上げると、先生が壇上から降りてくるところだった。
それを目で追い掛けていると、突然、ふわりと視界が揺れた。
ドキ、と跳ねる心臓。
霧が流れ込んできたみたいにボヤけ始める視界、頭の血液が指の先まで下りていくような感覚を覚える。
進行を進める先生の声も水の中から聞いているようで、霧か煙か分からない白が徐々に視界に広がっていく。
あぁ……やばいかも。
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