02.

8/19

1940人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「ハ……」 薄い夏の制服の上から胸の辺りを鷲掴みして、自分の上履きを見つめる。 喉の閉塞感を覚えて無理やり唾を飲み込むけれど、何かが込み上げてくるような気持ち悪さを覚える。 「ハッ……ハァ……」 肩で息をし始めた自分に気付いた時、息遣いが聞こえてしまったのか、前にいる女子が顔を後ろに向けてきた。 「え、大丈夫?」 少し見開かれた目。小さく動く口。 どうしようと不安になればなるほど浅くなる呼吸を繰り返して、その目を見つめる。 「ハッ、ハ……」 肩を上下させて丸まる背中。目頭が熱くなって、苦しくて眉をひそめる。        「っ――」 ダイジョウブ? その言葉の意味って、なんだったっけ。 瞼が重く感じた瞬間、私の意思とは関係なしにうつらうつら閉じていく。 「内宮さん?」 ズルズルと崩れ落ちるようにしゃがみ込むと、フッと力が抜けて――倒れた。 「せ、先生、内宮さんが」 「ゼェ……ゼェ」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1940人が本棚に入れています
本棚に追加