02.

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またこれで、噂が広まる。 なんて……思われるだろ。 「退きなさい」 たくさんの上履きが見える。 床に倒れた私は尚も肩で息をして、掻きむしるように胸元の制服を握り締めた。 最近、学校では治まってたのに。 ――ザワザワ 静かだった体育館も、人の声がうるさい。 原因は私。私が――。 「はい、退いて退いて」 頬に感じる、誰かが駆けてくる振動。 うっすら開けた目に、白い白衣が見えた。 花保ちゃんだ。 「紙袋は?」 目に涙を浮かべて、私はゆっくり首を振る。 「い……や……」 みんなが見てる。大袈裟だと思われる。 面倒だって、思われる。 「どうしよ……立てる? あー、立てないよね。田中先生っ、肩貸して下さい」 ガッシリした腕が私を担ぎ上げる。 周りを囲んでいた生徒が道を作ると、私の体は3年生の列の横を通って体育館の外に出された。 向けられていたたくさんの目から解放されて安心したのか、私は簡単に意識を手放した。  
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