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――カチャ
遠くの方で何か聞こえる。
プラスチックに、硬い何かを当てているような音。
なんの音だろう。
――カチャ
そう思った瞬間、急に、音がクリアに聞こえた。
そっと瞼を上げると、真っ白な天井に周りを囲むカーテンと、見慣れた景色があった。
消毒液の匂いが鼻を掠めると、すぐにここが学校の保健室だと気付く。
そうだ……私、倒れたんだ。
視線の先にある照明はついていなくて、窓のカーテンも閉められているからベッドの上が薄暗かった。
「どうしてここで外すの」
「担任が『さすがに数が多い』って」
「答えになってません」
「2つまでならいいらしいっすよ」
「……一体幾つ付けてるの。赤くなってるじゃない」
「軟骨? トラガスは、昨日開けたばっかだから」
花保ちゃんの他に……誰かいる。
低い声で、それが異性だと分かる。
人のことは言えないけれど、先生に対して馴れ馴れしい。口の利き方がなってない。
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