02.

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  ――カチャ 遠くの方で何か聞こえる。 プラスチックに、硬い何かを当てているような音。 なんの音だろう。 ――カチャ そう思った瞬間、急に、音がクリアに聞こえた。 そっと瞼を上げると、真っ白な天井に周りを囲むカーテンと、見慣れた景色があった。 消毒液の匂いが鼻を掠めると、すぐにここが学校の保健室だと気付く。 そうだ……私、倒れたんだ。 視線の先にある照明はついていなくて、窓のカーテンも閉められているからベッドの上が薄暗かった。 「どうしてここで外すの」 「担任が『さすがに数が多い』って」 「答えになってません」 「2つまでならいいらしいっすよ」 「……一体幾つ付けてるの。赤くなってるじゃない」 「軟骨? トラガスは、昨日開けたばっかだから」 花保ちゃんの他に……誰かいる。 低い声で、それが異性だと分かる。 人のことは言えないけれど、先生に対して馴れ馴れしい。口の利き方がなってない。
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