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「内宮くん。女子生徒が寝ているベッドを覗くんじゃないの」
「花保ちゃん先生はピーピーうるさいですね」
「こら内宮っ。先生って呼びなさい」
「そこの人に、今呼ばれてたじゃないっすか」
先生の声が頭の奥に響く。眉を寄せて、肩を縮める。
「花保ちゃん、声大きい……」
「あ、ごめんなさい内宮さん」
「あと、私が叱られてるみたい……」
なに、同じ名前?と、転校生が花保ちゃんを見下ろすと。
「そうよ、内宮 風花さん。貴方のいっこ下。同じ苗字で、この学校に転校してきたっていう共通点があるんだから、後輩には優しくね?」
花保ちゃんが勝手に名前を、それと私も転校生ってことまでバラしてくれる。
「へぇ。この名前、前に住んでたとこじゃ珍しかったのに」
花保ちゃんと転校生が後ろへ引っ込むと、間仕切りのカーテンは元通りになって私の姿を隠してくれる。
「……」
出ていったの?
2人の会話が聞こえなくなって、そろりと床に足を下ろす。
保健室が、シンと静かになる。
転校生の気配が消えて安堵のため息を吐くと、上履きの爪先で床を叩きながらカーテンを全開にする。
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