02.

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「お、出てきた」 「うわ゛――」 ――シャ 椅子に座っている転校生と対面して、咄嗟に間仕切りのカーテンを閉める。 で、出てってなかった――。 「なぁ」 「……」 「なぁって」 カーテンの裏で身を潜めていると、『内宮さん、相手してあげて』と、花保ちゃんの声がする。 「ヤです」 「そう。体調は良くなった? なら、教室に戻りなさいね」 ――え。 勢いよくカーテンを開けて、机に向かっている花保ちゃんのシワ1つない白衣を見つめる。 「花保ちゃ……」 椅子を回転させてこっちを向く花保ちゃんは、目尻を垂らして優しい顔をしていた。 「なんて顔してるの。ごめんなさい、冗談よ」 「……」 「ほら、先輩と仲良くしてね」 「……はい」 やむを得ず間仕切りの中の安全地帯から出ると、転校生の傍までゆっくり歩み寄る。 ほんの少し、呼吸が速くなる。 花保ちゃんと椅子を並べて、机の隅っこで何かしている転校生。 息を潜めて恐る恐る肩越しに覗いてみると、サプリケースのような小さなプラスチック容器に、細かいビーズのようなものが入っていた。 その内の1つを指で摘んで眺めては、戻して。その度にカチャ、と音が鳴る。 ベッドの上で目を覚ました時、ぼんやり聞いていた音だ。
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