02.

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――キ 転校生が回転椅子を利用して体ごと振り向く。 悪い意味で、ドキリと心臓が跳ねた。 「内宮さん?」 机に背中を預けて、確認するみたいに私の名前を呼ぶ。 「この中だと、どれが可愛い?」 プラスチックの容器を手の平に乗せて聞いてくる。 そう言われても……これ、何なんだろう。どれがいいって、選んで指を差せばいいの? 手の平の上に視線を落としたまま、心の中で早口になる。 「それが何なのか、まず説明してあげて」 クス、と笑って花保ちゃんが言うと、転校生が顔を上げて、さっきよりも近い距離で目が合う。 「ピアス。見たことない?」 こうやって対面して、人に話し掛けられるのは久しぶり。 私は視線を右に左に泳がせると、これ、と無言で指を差す。 ダイヤの表面みたいにキラキラしてて、ルビー色の小さなネコの頭が可愛いと思った。 ていうか、そもそも“可愛い”の選択肢が少ない。 他は、牛の鼻に付いている輪っかみたいなのと、シルバーや黒のビーズみたいなものしかない。 「これね」 そう言って私が選んだピアスを摘むと、片側の耳に付ける。 どうやって付けられているのか気になって、じっと見下ろして見入る。
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