02.

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「なに?」 「あ……いや」 小さく言えば、『なんて?』と、転校生が耳の後ろに手を当てて耳を向けてくる。 ぷっくりした耳たぶの上で、ネコのピアスが光ってた。 ピアスの穴なのか、こんなとこにもというくらいたくさんの点がある。 「そんなに見んなよ」 また、まじまじと見てしまっていたらしい。 不快にさせたかもしれない。 ごめんなさいと謝ろうとしたら、転校生は口の端を広げて、 「穴が空いたらどうすんの」 と言う。 うっすら笑って、白い歯が少しだけ見えた。 その顔にまた、釘付けになりそうだった。 「あ――」 転校生が壁を見上げる。 釣られて私も見ると、壁に掛けられている時計が、昼休みが終わる3分前を知らせていた。 「先生、教室戻るわ」 「早く友達見つけなさいよー」 「そんなもん勝手に出来る」 ピアスケースを後ろポケットにしまって、丸椅子を片付ける転校生。 朝、体育館の壇上の下から眺めていた人が保健室にいて、いつも私が使っている椅子を手に持っている。 学年が違うし接点もないし、本来なら言葉を交わすこともなかっただろう人間が目の前にいて、なんだか変な感じがした。 その場に突っ立って見ていると、急に転校生がこっちを向いて、私は目を反らすタイミングを逃す。 「内宮さんは戻んねーの?」 「え……」 笑みが消えた顔に、怯んでしまう。 「私は……――」
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