02.

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  「――だらしないから、シャツを入れなさい」 閉められる戸に向かって花保ちゃんが言葉を投げるけれど、向こうから返事はなく、窓に映っていた人影が離れると廊下を歩く上履きの音がする。 ここに残ることを選んだ私は、ベッドの方へと歩いた。 「午後も、ここに居ていいですか……」 教室に行きたくなかった。 自分に向けられる視線を想像しただけで、喉が詰まりそうになる。 「私、貴方には甘いのよねー。職員室で注意されたことがあるくらい」 ベッドに腰掛けて、ごめんなさい、と声を落として謝る。 「私が何か言われることは気にしてないわ。ただ、内宮さんいい娘なのに、凄くいい娘なのに、クラスの人達に気付いてもらえないのが寂しいだけ」 ふわりとカーテンが舞って、窓から生暖かい風が入ってくる。 閉じた口の端を上げる花保ちゃんを、真っ直ぐ見つめる。 口煩い時もあるけれど、他の先生とはちょっと違うんだ。 「下校時間まであと2時間、寝ときなさい。最近眠れてないんでしょう?」 布団に足を入れながら、どうして分かるの?と聞けば、『目の下にクマが出来てる』と指摘される。 「まだ若いのに。家事とか無理してない? 2年生になってから、一人暮らし始めたんでしょう?」 「うん……追い出されたから」 静かにそう言って、横になる。
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