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どうせここに来たのだって、興味本意か何かでしょ。
「だからって、簡単に話ちゃわないで下さい」
「ごーめーんーなーさい。でも、それだけじゃないのよ。貴方を心配して来てくれたからってだけじゃなくて――」
じゃなくて?
目を見てその先の言葉を待っていると、頬を緩める花保ちゃんは首を横に振る。
「ううん。またいつか、ね」
「え……」
気になる。
それに、転校生もいなくなったし、もっと花保ちゃんに色々言ってやろうと思ってたんだ。
でも、治まったばかりの発作がまた再発するのも嫌だから、それきり私は、考えるのをやめることにした。
「寝ます」
「ん。放課後になったら声を掛けるから。では、カーテンが閉まりまーす」
天井に敷かれたレールを走って間仕切りが出来ると、1人きりの空間で天井を見つめる。
「先生……」
「なぁに?」
「体育館では、ありがとう」
少し間が空いて、『どういたしまして』と柔らかい返事が返されると、そっと瞼を閉じた。
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