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「転校生、ちょっと変わってるんだって」
転校してきた初日に席に着いてボーッとしていると、私の斜め後ろの席でクラスメイトが話しているのを聞いた。
「知ってる知ってる。職員室で先生達が話てた」
「変わってるって、どんな風に？」
「たまに、呼吸困難になるらしいよ」
「えー、なにそれっ。病気ってこと？」
「なんか、怖いよね……」
会話の内容に間違いはなかったけれど、体育に参加しちゃいけないことはないし、見た目が人より痩せ細っていたりするわけじゃない。
たまに、精神的な不安から過呼吸になってしまうだけ。
その“たまに”が、少し厄介なだけ――。
「そうか。内宮は、半年前に転校して来たんだったな」
「内宮さんの好きな食べ物、知らなーい」
「知らなーい」
女子が顔を見合わせて、クスクス。
楽しそうで何よりだ。
「よし。内宮、好きなもの言ってみなさい」
「……」
クラスメイトのほぼ全員の顔が、廊下の窓際を向く。
担任のばか。
「嫌いな者ばかりです」
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