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  憂鬱な朝のホームルームから1日が始まって、1教科50分の午前の授業が終わると、休み時間中トイレ以外に席を立つことがなかった私が、昼休みのチャイムを聞くと教室を出る。 教室にも廊下にも、ガチャガチャと人、人、人の声が響いていた。 自分の耳と他人(ヒト)の口を塞いでしまいたい衝動を抑えて、早歩きで一番下の階へと向かう。 階段を降りて、角を曲がってすぐにあるそこが、学校で唯一居心地が良いと思える居場所だった。 “保健室”と達筆な字で書かれたプレートを一度見て、真っ白な戸を引く。 「花保(カホ)ちゃん」 10センチ程開けた隙間から、そろりと中を覗く。 部屋の奥にある身長計と、布が被せられた大きな体重計。 右を見ると洗面台、カーテンが閉まってないベッドが2つあって、左を見ると、壁際に机。 丸椅子に座っている先生と目が合う。 花保ちゃん以外の人はいないみたい。 今日もここは静かだ。 「花保先生、でしょ?」 「他の先生がいない時ならいいって言ったのは、花保ちゃんだよ」 「嘘だーあ」 「嘘じゃないです」
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