第1話

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それは次に同じような状態になったのならば僕の精神は耐えることができない予感がするからだ。  先程書いたがこの『虚無』に捕らわれ翻弄されているという認識が理性によってできているが、次にこうなった時に理性が耐えられるとは思えない。  最初の一回目だからこそ、僕は潰れてしまいそうな理性を奮い立てて今現在、『虚無』に耐えてこの文章をかろうじて書くことができているのだ。  そしてそれは『虚無』と僕が表現した『何か』を自らで感じ、抱え、こうしてキーボードーに向かい、文字を打つことでこの稀有な体験をいま読んでいる人に知らせることができるというのはやはり一介の小説書きとしては幸運なことなのだろうと思う。  そして今回や今までに自身が感じた『虚無』『絶望』『悩み』『怒り』を作品に投影、あるいは反面的に取りいれることで僕は『僕にしかかけない小説』を作り続けていくことができるという皮肉に苦笑してしまう。  いずれ耐えられなくなるかもしれないがそれでもその瞬間まではどうにかこうにかやりくりしながら書いていこうと思う。   結局それ以外にやりたいことなんてないのだから……。
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