第6話

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『慈雨様、星夜様、晴様、譲さん、皆さん お世話になりました。 この通帳は、ここで働いて得たお給料です。 今までお世話になった分です。 お納めください。 直接お礼が言えず、申し訳ありません』 ここまで書いて、少し悩む。 でも、いいや。 最後なら、すべてさらけ出してしまえ。 ページをめくって、また書き出す。 『慈雨様 この10年間、慈雨様のもとで暮らせてとても幸せでした。 私は、慈雨様をお慕いしておりました。 だから、体を重ねる行為に喜びを見出だしてしまいました。 それがいけないことだと知りながら。 もう、ひめさんの代わりに誰かを抱くようなことはなさらないでください。 婚約者であるひめさんを傷つけることはしないでください。 お二人の幸せを心から祈っております』 これでいい。 書きたいことは全部書いた。 ノートに通帳。 スマホももう要らない。 全部まとめて机の上においておく。
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