第6話

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鞄にパパとママの遺品を積める。 あと必要そうなものを積めて。 ーー・・・補聴器は要らない。 あの人の声が聴こえないなら、つけてる意味なんてないから。 静まり返った家のなか。 音を立てないように、ゆっくりと部屋を出る。 玄関までいって、ぐるりと見回す。 10年間、ここにいた。 ここで慈雨様と一緒に過ごした。 愛してる。 きっと、これから先貴方以上に愛せる人はいない。 「っ、おせ、わに、なりま、た」 もう、二度とここに来ることはないのだろう。 いいんだそれでも。 ーー・・・ずっとずっと 貴方の幸せを祈って生きていくから。
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