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びしょびしょになって、部屋にはいる。
「はい、タオル」
「あ、アカネさん、頭もげる、です」
「あんたの飼い主も早く来ないかしらねぇ」
わしゃわしゃと頭をタオルで拭われて、脳が揺れる気がする。
「アカネさん、何か言いました?」
「いーえー」
「っくしゅ、着替えてきます」
「はいはい」
「夜ご飯は何がいいですか?」
「そうねぇ……やっぱりオンナはお肉よね♪
肉食でいなくちゃ♪」
「おにく?分かりました」
と、後ろでざざっと音がして。
見ればるーくがブルブルと体を振っていた。
……お掃除しなくちゃ。
「るーく……」
「ワンッ」
疑うことを知らない澄んだ瞳で、くりくりっと見つめてくる。
グッと胸がつまって。
「……ね、るーく。
ずっとそばにいてくれる?」
るーくが一緒にいてくれたら、慈雨にぃがいない隙間を埋められるかな。
「ワンッ」
「……ふふ、約束ね」
タオルで拭いながら抱き締めた体はあったかくて。
なのに、あの人と違うって、また泣きそうになった。
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