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「るーく?どうしたの?」
いつもそばで寝るだけなのに。
あんな風に起こしたの初めてだ。
「ワンッ」
ソファの後ろと私を見ては、ブンブンと尻尾を振り回す。
「??後ろ?」
合ってるかな。
何となく言いたいことはわかるんだけど……
後ろを振り向く。
見覚えのあるスーツ。
少し隈のある顔。
ひどく驚いたその表情。
……大好きな人。
「るう……」
「じ、うにぃ?」
なんで、いるの?
うまく働かない頭で必死に思考を巡らせる。
テーブルの上には私の焼いたパウンドケーキ。
ーー・・・お客様って、慈雨にぃ?
「っ、るう」
立ち上がって、近付いてくる。
なんで、なんで
るうは、慈雨にぃから離れないといけないのに。
「っ?!るう!!」
逃げなきゃ
どこに?
そんなこと分かんない
分かんないけど。
慈雨にぃのそばにいてはダメ
慈雨にぃに、笑顔でおめでとうなんてまだ言えない。
私の気持ちを伝えてしまう。
言っちゃいけない。
遠くへ
慈雨にぃから離れなくちゃ。
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