第7話

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裸足のまま、外へ駆け出す。 遠くへ どこか遠くへ はぁはぁと息が切れる。 足はコンクリートで傷付いて。 それでも走るのをやめることはできない。 「……!危……待って!」 ドクドク 鼓膜の内側で血管が脈を打つ。 「るう、まって!」 いや、呼ばないで。 私の大好きな声で 私を呼ばないで どうせ、あの人の代わりなのだろう? もう、苦しい。 これ以上は無理だ。 「いやっ慈雨にぃ来ないでっ」 「っ!!るう!!」 嫌だ、も、いや 苦しい 離れたい 「るうっ!!」 鋭い声。 その声で反射的に立ち止まれば、向こうから走ってくる車。 ーー・・・あぁ、これで。 ようやく終われる。 あの人が、世界がないのなら。 もう世界は終わっているのだから。 この命、もう終わるときだろう。 キキーッ ドサッ
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