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「るう」
「るう、出てけって言われたもん」
絶対に言わないと約束した言葉を。
慈雨にぃは口にした。
幼い頃から、ずっとずっと
その言葉があったから、るうはるうでいられたのに。
「るう、ごめんあの日ひどいことした。
痛かったよね?
伊達社長に脅されて、怖かったよね?」
痛かった
怖かった
慈雨にぃが何を怒っているのか分からなかった。
伊達社長にキスなんてされたくなかった。
触られたくなかった。
全部全部、慈雨にぃを守るために、頑張ったのに。
……怖くて、痛かった。
「るう、僕のこと、まだ好きでいてくれてる?
あんなひどいことしちゃったけど」
「っ、」
……ひどい。
私の想いは、たった3ヶ月で変わるようなものじゃない。
痛くて、怖くて、それでも。
慈雨にぃが好き。
けれど、それを確認して何がしたいの?
もうすぐ、ひめさんと結婚するくせに。
わざわざ、フリに来たの?
そんなのいらない。
だからそっとしておいてほしいのに。
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