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慈雨にぃはおもむろにジャケットに手をいれると。
小さな箱を取り出す。
はぁっと一つ息をついたかと思うと。
まるで、射抜かれるかと思うほど。
強く、まっすぐ。
視線があわせられる。
そして、小さな箱を、私に向けて開く。
「波瀬 涙姫さん
僕と結婚してください」
「……え?」
言葉とともに差し出されたのは。
小さなダイヤが幾つも散りばめられた
まるで夜空の星を閉じ込めたような
雨上がりの雫が光を浴びて輝くような
可愛くて、綺麗で
……そんな指環。
なんで、どうして?
意味が分からない。
それでも、いつの日か夢見たような光景に心はうち震える。
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