第7話

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「ひゃぁ」 フワッと浮いた体 「掴まってて」 つい反射で首に腕を回す。 そうすると。 慈雨にぃの心音が伝わってきて。 ずっと、いつも、幼い頃から。 抱き締められて感じてきたこの鼓動に、 無条件の安心感を得る。 「涙姫」 思い出したように、ふとかけられる声。 "涙姫"なんて、慈雨にぃらしくない。 「な、ですか?」 「ーー・・・愛してる ずっと、ずっと 君だけを愛してた これから先も一生愛してる」 「っ、ふ、」 それは、ずっと望んでいた言葉で。 一生与えられることはないと思ってた。 夢みたい。 でも、夢じゃない。 慈雨にぃが迎えに来てくれて。 プロポーズしてくれて。 ーー・・・愛してると伝えてくれた。 好き。 好き。 伝えてもいいのか、この想いを。 ならば、早く伝えたい。 手紙じゃなくて、自分の声で、伝えたい。
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